アクセシビリティ検査記録簿の試験の進め方
このページでは、統合アプリ アクセシビリティ検査 の記録簿を使い、方針の確認、対象ページの選定、試験、結果の報告、記録の保管を進める操作を説明します。
全体の進行は利用マニュアルの5工程に沿って進めます。相談・提案と検査計画書で共有した内容をもとに、CMSの 検査 で方針から対象ページ選定へ進みます。画面の操作順と、案件全体の5工程は区別してください。
画面での作業順
| 作業 | 記録簿の画面 | やること |
|---|---|---|
| 方針の確認 | 方針 | 計画した目標・対象範囲、既存の方針、公開情報を確認・保存する。 |
| 対象の選定・確定 | 対象ページ:選定・確定 | 候補を選び、正式な試験対象を保存する。 |
| 試験 | 試験実施:環境・共通・一覧 | 検証環境、共通の判断、ページごとの判断を保存する。 |
| 結果の報告・公開 | 結果確定・試験結果 | 結果を集計し、公開・提出用の文書を作成・保存する。 |
| 記録の保管 | スナップショット・過去の記録 | 完了時の記録を保管し、提出用の報告書を出力する。 |
| 進捗の確認 | ダッシュボード | 対象ページや判定の状況、次の操作を確認する。 |
使い始める前の準備
- 導入と設定の手順に従い、検査全体を管理するブログで アクセシビリティ検査 を有効化します。
- 設定 でチェックシート表示と記録の保存先を確認します。
- エントリー編集画面へのチェックシート表示に必要な、フックとテーマの記述を設定します。
- 子ブログを対象にする場合は、配布ZIPの案内に従って管理元を参照する連携を設定します。子ブログでのアプリ有効化は不要です。
- 検査計画書と既存資料を確認し、今回の対象範囲・目標・方法・日程を共有します。
マニュアルやサンプルページは設定 内の アクセシビリティ資料 から開きます。
ダッシュボードを確認する
管理画面の アクセシビリティ検査 を開き、上段の 検査 を選びます。
URL例:
https://example.com/bid/1/admin/app_mszm_a11yworkflow_index/
最初にダッシュボードが表示されます。ダッシュボードでは、試験状況(対象ページ数、試験済み、未確認、問題あり)、次に進めるべき操作、よく使う操作を確認できます。
方針を確認・保存する
方針 で、計画書で定めた対象範囲・目標と既存の公開情報を確認・保存します。CMSでは、この画面から対象ページ選定へ進みます。公開用の方針文書の作成・更新は、結果の報告・公開に合わせて行います。発注条件などに事前公開の指定があれば優先し、対応度表記に必要な提示・公開も確認してください。既存の方針、実際の公開日、改訂履歴を保持し、目標と試験結果を混同しないようにします。
入力する主な項目:
| 項目 | 入力例 |
|---|---|
| ウェブサイトのURL | https://example.com |
| 目標とする適合レベル | WCAG 2.2 / レベルAA |
| 対応度 | 準拠 / 一部準拠 / 配慮 |
| 例外事項 | PDF資料、動画、外部サービス埋め込みなど |
| 達成期限 | 日付 |
| お問い合わせ部署 | 広報・情報システム部など |
| 電話番号・受付時間 | 公開する問い合わせ情報 |
| お問い合わせフォームURL | https://example.com/contact/ |
| 改訂履歴 | 初版公開、試験結果反映など |
| 作成ページURL | https://example.com/accessibility/(任意。ファイル名例: accessibility.html) |
操作手順:
- 必要な項目を入力します(ひな形がある項目は 入力欄へ を選択して適用可能)。
- Markdownを作成 を選択します。
- 生成された方針 Markdown を確認し、必要に応じて文章を調整します。
- 方針を公開したページを記録する場合は、作成ページURL に公開 URL を入力します。
- 方針を保存して次へ を選択します。
試験対象ページの選定と確定(選定・確定)
対象ページを選定する
対象ページ:選定 タブで、試験対象ページの候補を作成します。
選定の基本的な考え方(JIS X 8341-3:2016 推奨):
- 小規模サイト(数十ページ程度)は全ページを対象にする方法もあります。
- 100ページを超えるサイトでは、「代表的なページ」と「ランダム抽出したページ」を併せて40〜50ページ程度選定することが推奨されています。
- トップ、一覧、詳細、フォーム、検索、問い合わせ、ログイン周辺など、性質や構造が異なるページを含めます。
操作手順:
- 試験から外すURLがあれば 除外URL に入力します(例:
https://example.com/faq/*)。 - サイトマップから取得する を選択します。
- 候補URL一覧から、優先して含めたい代表ページにチェックを入れます。
- 必要に応じて 手動で候補URLを追加 や 代表ページを手動で追加 を開き、サイトマップに出ないページを追加します(手動追加は除外URLルールより優先されます)。
- 検査するページ数を入力 に件数を入力します。
- ランダムチョイスを実行 を選択します。
- 選択結果を確認し、対象ページの選定を保存して次へ を選択します。
対象ページを確定する
対象ページ:確定 タブで、選定したページを正式な試験対象として固定保存します。
操作手順:
- 確定対象の一覧を確認します。
- 件数やページ種別に不足や偏りがあれば、前の「対象ページ:選定」に戻って調整します。
- 内容に問題がなければ、試験実施ページを確定して保存して次へ を選択します。
重要: ここで確定保存した一覧が、以降の試験環境、共通設定、ページ別チェックシート、結果集計、公開用ドキュメントの正式な対象正本となります。
試験の実施・検証(環境・共通・一覧)
試験環境を設定する
試験実施:環境 タブで、試験の前提条件を設定・保存します。
入力する主な項目:
| 項目 | 入力例 |
|---|---|
| 規格番号および改正年 | JIS X 8341-3:2016をベースにWCAG 2.2で補う |
| チェックツール | axe-core、手動確認(キーボード操作・スクリーンリーダー) |
| ウェブコンテンツ技術 | HTML CSS JavaScript |
| OS・ユーザーエージェント・支援技術 | Windows 11、Microsoft Edge、Google Chrome、NVDA |
| ツール/UA/支援技術のバージョン情報 | axe-core 4.10.2 / Google Chrome 148 / NVDA 2024.1 など |
| 対象とするレベル | A / AA / AAA |
操作手順:
- 規格、チェックツール、技術、検証環境、分かる範囲のバージョン情報を入力します。
- 計画書で定めた対象レベルを選択します。
- 試験範囲を保存して次へ を選択します。
各ページのチェックシート表示は、アプリ内の 設定 で変更します。
共通項目を判定する
試験実施:共通 タブで、サイト全体に共通する達成基準を先行して判定・保存します。
共通項目の例:
- すべてのページに共通するヘッダー、フッター、グローバルナビゲーション
- サイト共通の基本フォント色、背景色、フォーカスリング表示
- すべてのページで該当するコンテンツが存在しない達成基準
操作手順:
- 共通ページの URL(検査ツール用) に、代表となる公開ページ URL を入力します(トップページなど)。
- 達成基準ごとに 適用(
○/-)と 結果(○/×/△)を入力します。 - 必要に応じて 詳細 を開き、注記、不適合の理由、確認方法、確認日を入力します(ひな形を利用可能)。
- 共通設定を保存 を選択します。
注意: ここで設定した内容は全ページに自動反映され、個別ページの画面では編集ロックされます。ページによって答えが変わる項目(フォーム、動画、時間制限、特殊UIなど)は、絶対に空欄のままにしてください。 迷う項目は空欄にし、個別ページで判定します。共通項目がない場合は 共通項目なしで完了して次へ を選択できます。
ページ別に試験する
試験実施:一覧 タブで、確定した各ページの状態を確認し、ページごとのチェックシートへ進みます。
操作手順:
- 一覧で対象ページを確認します。
- フィルター(すべて / 未確認 / 問題あり / 問題なし)を使い、作業対象を絞り込みます。
- 各行の 編集 を開きます(エントリー編集画面へ遷移)。
- エントリー編集画面内の アクセシビリティ検査記録簿 パネルで、達成基準ごとに判定を入力します。
- 公開ページを確認したい場合は、チェックシートの 検査ツールで見る を開きます(アクセシビリティ検査員 が該当基準で起動)。
- アクセシビリティ検査員 で検査し、結果をチェックシートへ記録します。エクスポートした JSON がある場合は、アクセシビリティ検査員の結果を取り込む から取り込みます。
- すべての対象ページの判定が完了するまで繰り返します。
- 個別ページの入力を修正した後、または編集URL・再確認日数を変更した後は、この一覧画面で 一覧を保存して結果確定へ反映 を選択します。
チェックシートの入力ルール
| 列 | 入力内容 |
|---|---|
| 適用 | その達成基準を試験対象にするか(○ 試験する / - 該当なし) |
| 結果 | ○ 適合(問題なし)、× 不適合(問題あり)、△ 要確認(注記あり) |
| 検査ツール | 公開ページを アクセシビリティ検査員 で開く |
| 詳細 | 注記、不適合の理由、確認方法、確認日 |
×を選ぶ場合は「不適合の理由」が必須です。△を選ぶ場合は「注記」が必須です。- 自動検査だけで判断せず、キーボード操作や目視による確認を必ず組み合わせてください。
アクセシビリティ検査員の JSON を取り込む
ページ別チェックシートでは、アクセシビリティ検査員 でエクスポートした JSON を取り込んで入力を効率化できます。
- アクセシビリティ検査員 で対象ページを検査し、結果をエクスポート で JSON を保存します。
- ページ別チェックシートの アクセシビリティ検査員の結果を取り込む を開きます。
- JSON ファイルを選択し、対象レベルと取り込む結果を選択して JSONをインポート を実行します。
- 反映された候補を確認・精査し、エントリーを保存して確定します。
結果の確定と公表(結果確定・試験結果)
結果を確定する
結果確定 タブで、全ページの入力済みチェックシートを集計し、公式な結果データとして確定します。
操作手順:
- 試験を確定して結果を集計して次へ を選択します。
- 必要に応じて 集計結果を表示する を選択し、達成基準別集計表、ページ別集計マトリクス、不適合一覧を確認します。
- 不備が見つかった場合は個別ページのチェックシートに戻って修正します。修正後は、試験実施:一覧 で 一覧を保存して結果確定へ反映 を押してから、再度この画面で 試験を確定して結果を集計して次へ を押してください。
公開用 Markdown を作成する
試験結果 タブで、ウェブサイト上で公開・提出するための公式な Markdown ドキュメントを生成・保存します。
入力・生成する内容:
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 試験実施ページリスト | 確定した試験対象ページの名称と URL 一覧 |
| 不適合一覧 | 不適合となった達成基準、対象ページ、理由、今後の対応方針 |
| 試験の記録 | 表明日、試験期間、追加措置、試験実施機関、ツールバージョンなど |
| 該当レベルの試験結果 | JIS 附属書JBに準拠した達成基準チェックリスト Markdown |
操作手順:
- 表明日、試験実施期間、試験実施機関などを入力します。
- 試験実施ページリスト の Markdownを作成 を選択します。
- 不適合がある場合は 不適合一覧 の Markdownを作成 を選択します。
- 該当の適合レベルの達成基準の試験結果 の Markdownを作成 を選択します。
- 生成された Markdown を確認し、必要に応じて手動で調整します。
- 試験結果を保存して次へ を選択します。
記録の固定保管と継続運用(スナップショット・報告書)
スナップショットを保存する
スナップショット タブで、試験完了時点の全記録を統合 JSON として固定保管します。
操作手順:
- 公開用スナップショットを更新 を選択します。
- 最新の全設定・全結果が統合された JSON が生成されたことを確認します。
- スナップショットを保存する を選択します。
スナップショットは、「この時点でどの方針・対象ページ・試験結果だったか」を固定するための監査記録です。公開後や納品前に保存しておくことで、将来の年次更新や再試験との比較元データとして確実に活用できます。
過去の記録へ追加する
完了した検査や作業途中の状態を別の記録として残す場合は、あらかじめ 設定 → 基本設定 → 過去の記録保存先設定 で非公開の子ブログを指定します。テーマなどの準備は導入と設定の手順を参照してください。
- 検査の各画面と、ページごとのチェックシートで入力を保存します。未保存の変更は履歴に含まれません。
- スナップショット タブを開きます。最新の公開用スナップショットも残す場合は、先に更新・保存します。
- 保存記録のタイトル と必要に応じて 概要(任意) を入力し、保存済みの作業を履歴に追加 を押します。
- 上段の 過去の記録 で、追加されたタイトル・保存日時を確認します。
通常の保存やスナップショットの保存だけでは、履歴には追加されません。履歴に追加するたびに別の記録として残ります。保存先を用意しなくても、通常の検査・作業の保存・帳票作成は利用できます。
一覧のタイトルを開くと この記録のJSONを保存 から記録を取り出せます。記録の内容を詳しく見るときやタイトル変更・削除は CMSでタイトル変更・削除 から行います。過去の記録を開いても、現在の入力や判定は置き換わりません。
試験結果報告書 HTML を出力する
スナップショット保存後、同じ画面の 試験結果報告書をダウンロード を選択すると、納品や提出に使える単一 HTML ファイルを出力できます。
試験結果報告書の位置づけ
試験結果報告書は、「いつ・誰が・どのページを・どの基準で試験し、達成基準ごとにどう判断したか」を試験実施者の責任で発行する公式な記録文書です。
試験結果の公開ページとの違い:
| 項目 | 試験結果の公開ページ | 試験結果報告書 |
|---|---|---|
| 性質 | サイト運営組織による適合表明 | 試験実施者による事実の記録 |
| 主な読者 | サイトの一般利用者 | 発注者・社内決裁者・監査機関 |
| 内容 | 要約・適合状況の告知 | 全達成基準の判定結果と不適合課題の全件 |
| 更新 | サイト改修や再試験のたびに更新 | 発行時点で固定(版を重ねて履歴管理) |
ファイルの特徴と照合性
- 単一 HTML ファイル: 外部スタイルや外部スクリプトに依存せず、オフライン環境でも完全なレイアウトで閲覧・保管できます。
- 改ざん防止の検証性: HTML 付録内にスナップショット JSON と SHA-256 ハッシュが同梱されており、改ざんがないことを後から数学的に照合・検証できます。
- 印刷対応: ブラウザの印刷機能を使って、A4 形式の PDF レポートとして綺麗に出力・保存できます。
修正が発生した場合の戻り方
試験中にサイト側の修正や不適合の改修を行った場合は、次の順序で記録を更新します。
- サイト側の HTML や CSS を修正します。
- 公開ページで アクセシビリティ検査員 などを用いて再検査します。
- 対象ページのチェックシートで判定を更新し、エントリーを保存します。
- 試験実施:一覧 で 一覧を保存して結果確定へ反映 を選択します。
- 結果確定 で 試験を確定して結果を集計して次へ を実行します。
- 試験結果 で各 Markdown を再生成し、試験結果を保存して次へ を選択します。
- スナップショット で 公開用スナップショットを更新 → スナップショットを保存する を実行します。
※試験対象ページそのものを変更・追加した場合は、対象ページ:選定 と 対象ページ:確定 からやり直してください。
次の点検を準備する
報告後は、過去の記録 に保存した内容や案件資料を使って、修正・再確認の予定、残課題、次回の候補ページ、保管場所、担当者を整理します。任意の修正・再確認メモにも残せます。
次回は、引き継ぎから変更点を確認して新しい計画を作ります。前回の記録は比較資料として参照し、前回の判断を新しい検査結果としてコピーしません。準備ができたことと、将来の修正・検査・提出・公開が完了したことを区別して記録してください。