「JIS X 8341-3:2016」の4つの原則と満たすべき達成基準とは?

JIS X 8341-3:2016とは何か

前回、「JIS X 8341-3:2016」がJIS規格(日本産業規格)『高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ』のことであり、高齢者や障害のある人を含む全ての利用者が、使用している端末、ウェブブラウザ、支援技術などに関係なく、ウェブコンテンツを利用することができるようにすることを目的としている、ということを学びました。(ウェブアクセシビリティ基盤委員会

JIS X 8341-3:2016の4つの原則

「JIS X 8341-3:2016」には、1「知覚可能の原則」、2「 操作可能の原則」、3「 理解可能の原則」、4「堅ろう(牢)(Robust)の原則」、という4つの原則があり、各要項が決められています。(「WCAG 2.0」にも同じように1知覚可能、2操作可能、3理解可能、4堅ろう性、の原則があります。)

知覚可能の原則

簡単にそれぞれの原則を説明すると、「知覚可能の原則」とは情報やユーザインターフェースを誰もが知覚できる方法で提示しなければならないことをいいます。

操作可能の原則

「操作可能の原則」とは誰もがユーザインターフェースやナビゲーションを操作可能としなければならないことを示しています。
マウスが利用できない利用者でも十分に操作できるように、キーボード操作のみで、すべての操作や情報を得ることができるようにしなければなりません。

理解可能の原則

「理解可能の原則」とは言語を適切に指定し、誰もがそれぞれに合った方法で(例えば音声読み上げソフトを利用したとしても)きちんと理解できるようにすることをいいます。

堅ろう(牢)(Robust)の原則

「堅ろう(牢)(Robust)の原則」とは、技術の進化に対応し互換性を最大として、どのような状態でもコンテンツにアクセスできるようにしなければならないことを示しています。



ガイドラインと達成基準

この4つの原則の下に12のガイドラインがあり、さらにその下に61の達成基準があります。達成基準とは、各ページを作成するにあたり対応すべき個別の要件を規定したものです。

12のガイドラインではウェブコンテンツをよりアクセシブルにするために、コンテンツ制作者が取り組むべき基本的な目標を提供しています。

61の達成基準にはそれぞれに「レベルA」25項目、「レベルAA」13項目「レベルAAA」23項目が割り当てられています。

レベルAはアクセシビリティ確保に最低限必要なレベル、レベルAAは諸外国においても公的機関に求められるレベルを指し、レベルAAAは最高レベルとなります。

この達成基準は一概にすべて「レベルAAA」を目標とすれば良いというわけではなく、総務省でも公的機関に対してレベルAAを推奨しています。(みんなの公共サイト運用ガイドライン(2016年版)

JISの適合と適合証明

JIS の要件を満たすことを「適合」といいますが、「JIS X 8341-3:2016」はJIS法に定められるJISマーク表示制度の対象規格ではありません。

このためいくら「JIS X 8341-3:2016」に適合していても「JISマークを付す行為」は行うことができません。

そのため適合を証明する方法として、ウェブコンテンツ供給者自ら、または第三者による試験や検査を行い、「JIS Q 17050-1 適合性評価-供給者適合宣言-第1部:一般要求事項」 及び「 JIS Q 17050-2 適合性評価-供給者適合宣言-第2部:支援文書」 の規定に基づき「供給者適合宣言書」を行うことが望まれます。

ウェブアクセシビリティ試験とその結果の表記

「JIS X 8341-3:2016」の「附属書JB(参考) 試験方法」を参考にウェブアクセシビリティ試験を行い、その結果に基づく対応の度合いを示すには、「準拠」、「一部準拠」、「配慮」という表記を用います。

「準拠」とは目標とする適合レベルに該当する全ての達成基準を満たすことを意味します。

また、「一部準拠」とは、目標とする適合レベルに該当する達成基準の一部を満たしていることになります。

いずれの場合もウェブアクセシビリティ方針の提示又は公開が必須となっており、「一部準拠」の場合は今後の対応方針を記述する必要があります。

次回予告

次回からは「JIS X 8341-3:2016」の4つの原則を更に詳細に、またそのもとにある12のガイドラインを順を追って細かくみていきましょう。


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この記事を書いた人

melly

アクセシビリティ検査員

長年にわたり、公共施設で司書として働く中、情報のアクセシビリティの必要性を感じていました。その経験を生かし、現在はウェブサイトのアクセシビリティ検査員として活動しています。

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