ウェブアクセシビリティとは

ウェブアクセシビリティとは、障害の有無にかかわらず、誰もがウェブサイトやウェブアプリケーションを利用できるようにすることです。

ウェブアクセシビリティへの対応の必要性

ウェブアクセシビリティへの対応は、法的義務ではありませんが、社会的に重要な取り組みとして認識されています。企業や組織には、自主的にアクセシビリティの向上を図ることが期待されており、そのための努力が求められています。

法的義務と努力義務

  • 現在、ウェブアクセシビリティへの対応は法的義務ではありません。
  • ただし、誰もがウェブを利用しやすい環境を整備するため、努力義務として推奨されています。

重要な取り組み

  • ウェブアクセシビリティの向上は、障害者や高齢者を含むすべての利用者にとって重要な取り組みです。
  • 誰もがアクセスしやすいウェブサイトを提供することは、すべての利用者への情報のアクセスする権利を保障します。

企業や組織への期待

  • 多くの企業や組織が、自主的にウェブアクセシビリティの向上を図ることが期待されています。
  • アクセシビリティに配慮したウェブサイトを提供することは、企業の社会的責任の一環として認識されつつあります。
  • ウェブアクセシビリティへの対応は、企業イメージの向上や顧客満足度の向上にもつながります。

ウェブアクセシビリティの規格

ウェブアクセシビリティには、主に3つの規格があります。
これらの規格は、WCAGを基礎としています。WCAGが改正されると、その後、国際規格(ISO/IEC)と国内規格(JIS)が改正されます。

WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)

  • W3C(World Wide Web Consortium)が定める国際的な規格
  • 最新バージョン:WCAG 2.2
  • 事実上のウェブアクセシビリティの国際標準

ISO/IEC 40500:2012

  • 国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)が定める国際規格
  • 最新バージョン:ISO/IEC 40500:2012(WCAG 2.0と同等)

JIS X 8341-3

  • 日本工業規格(JIS)が定める国内規格
  • 最新バージョン:JIS X 8341-3:2016(WCAG 2.0と同等)
  • 事実上の日本でのウェブアクセシビリティの基準

ウェブアクセシビリティ対応の証明方法

ウェブアクセシビリティ対応の証明するには『JIS X 8341-3:2016』に対応していること証明する必要があります。
JIS(日本工業規格)には「JISマーク表示制度」がありますが、『JIS X 8341-3:2016』はこの制度の対象にはなっていません。
このため、ウェブアクセシビリティ対応を証明するには、「供給者適合宣言を行う」か「ウェブアクセシビリティ基盤委員会のガイドラインの基準を満たす」かの2つの方法があります。

ただし、「供給者適合宣言」を行うには、JISの規格にしたがって要求事項を満たす必要があるため、対応が困難な場合もあります。
その場合は、ウェブアクセシビリティ基盤委員会の定めるガイドラインを使用することで、『JIS X 8341-3:2016』への対応状況を示すことができます。

供給者適合宣言を行う

  • 規格の要求事項を満たしていることを示したい場合は、「供給者適合宣言」を行う方法がある。
  • 『JIS Q 17050-1:2005』と『JIS Q 17050-2:2005』に基づいて「供給者適合宣言」を行うことで、『JIS X 8341-3:2016』に適合していることを示すことがでる。

ウェブアクセシビリティ基盤委員会のガイドラインの基準を満たす

  • 「供給者適合宣言」を行うのが困難な場合は、ウェブアクセシビリティ基盤委員会のガイドラインを使用することで、『JIS X 8341-3:2016』への対応状況を示すことができる。
  • 『JIS X 8341-3:2016』への対応を表記する方法は「 準拠、一部準拠、配慮」の3つである。
  • この表記方法を使用することで、『JIS X 8341-3:2016』の「5.1 適合要件」を満たしていることを示すことができる。

ウェブアクセシビリティに対応する方法

『JIS X 8341-3:2016』に対応していること証明するにはウェブアクセシビリティ試験をする必要があります。
しかし、ウェブページのアクセシビリティを確保するためには、試験だけでなく、試験に至るまでおよび試験実施後の取組全体が重要です。
ウェブアクセシビリティに対応するということは、以下のウェブアクセシビリティに対応する一連のプロセスをウェブコンテンツを公開し続ける限り、継続的に取り組んでいく必要があります。

1. ウェブアクセシビリティ方針の策定

2. アクセシブルなウェブコンテンツの制作

3. ウェブアクセシビリティ方針の公開

  • ウェブアクセシビリティ方針をサイト上で公開する。
  • ウェブアクセシビリティに関する問い合わせ窓口を設ける。

4. 試験の実施と結果の公開

  • アクセシビリティ試験をする。
  • 試験結果を公開してアクセシビリティ対応状況を透明化する。
  • 以下の内容を公開する。
    • 「ウェブアクセシビリティ方針」
    • 「ウェブアクセシビリティ検証結果」
    • 「ウェブアクセシビリティ検証試験実施ページリスト」

5. 継続的な運用体制の構築

  • ウェブアクセシビリティの確保・維持・向上に努める。
  • 定期的な方針の見直しと更新を行える体制を整備する。
  • 運用フローにアクセシビリティチェックを組み込む。
  • 基準適合状況を確認するための定期的な試験を実施する。

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